直径39mm、厚さ10.8mmの新しいオートマティック・スピットファイアは、IWCのパイロットコレクションの中で最小ではないが、最大の時計にはほど遠い。それは完璧なサイズかもしれない。手首に着ければ、39mmケースは夢のような着け心地だ。このようなモダンなパイロット・ウォッチをこれ以上小さくしたくはない。10.8mmの厚みは、付属する丈夫なテキスタイルストラップを装着するのに十分なスペースを確保できる。このサイズは、昨年リリースして話題となったIWCと我々のコラボ作・パイロット・ウォッチ マークXVIIIエディション「ホディンキー」と同じである。これらの時計はいずれも、40mm x 11mmだった従来のオートマティック マークXVIIIよりもほんのわずかに小さい。
IWC スピットファイアは、所有したことがないにもかかわらず、私の記憶の中で特別な位置を占めている。私が最初に扱った時計リリース情報のひとつ(正確にはふたつめ)は、IWC パイロット・ウォッチ・スピットファイアで、2006年にまで遡る。そのスピットファイアは、定型化した金属製文字盤を備えており、「ニュー・ヴィンテージ」と呼ぶにふさわしい装いで、今回の時計とはデザインがかなり異なっていた。現在のスピットファイアは、スピットファイア機のコックピットからインスピレーションを得たもので、文字盤には深みと質感がありあたかも別の時代の時計を連想させる。夜光が塗布された黒文字盤は、発光性に加えて、優れた視認性も確保。この時計を着けていたのは短期間でるが、私はいつもどおり仕事をしながら繰り返し手首を見ていた。フォティーナ(fauxtina)についていろいろ意見はあるだろうが、この出来栄えは素晴らしいと思う。
スピットファイア・オートマティックにはいくつかのバリエーションがある。この、SSケースに素晴らしいテキスタイルストラップの付いたもの、もしくは素敵なカーフスキンストラップが付いたもの。また、カーフスキンストラップとブロンズケースのバージョンもラインナップされる。IWCのレディースブロンズは最近人気の素材であり、時間の経過と共に緑青が付く性質は、時計に自分のしるしを遺したいという多くの時計愛好家にとって魅力的だ。IWCは、ブロンズケースのバージョンに高価な料金設定はしていない。それは依然として60万円以下に抑えられており、この価格は多くの人が時計の購入を決断する重要な心理的ラインだと思う。
それでも、私は、SSのバージョンの方が好みである。するとストラップの選択となるが、SSモデルでは、テキスタイルストラップでも、茶色のカーフスキンストラップでも、価格はどちらもちょうど54万円(税抜)。カーフを選ぶのが普通と思うかもしれないが、必ずしもそうとは限らない。スピットファイアにはこのテキスタイルストラップがよく映えるのだ。私が一番気に入った組み合わせでもある。
IWC パイロット・ウォッチ・オートマティック・スピットファイア。ケース:39mm x 10.8mm ステンレススティール製、ケースバック、ねじ込み式リューズ付き。6気圧防水。耐磁性軟鉄製インナーケース付き。ムーブメント:IWCの新しい自社製キCal.32110、2万8800振動/時で稼働、21石、部品164個、72時間パワーリザーブ、ハック(秒針停止)機能付き、シリコン製レバーとガンギ車。文字盤:夜光塗料付きの黒。ストラップ:SS製バックル付きのテキスタイルストラップ。