ムーンフェイズは、カレンダー情報そのものを表示するために不可欠なものではないが、パーペチュアルカレンダーに美しく、そして叙情的なアクセントを加えている。私はいつもムーン“フェイス”付きのムーンフェイズ機構を楽しんでいるが、ヴァシュロンが採用した滑らかな月は、ちょっと情報過多なダイヤルにある種の落ち着きを与えている。ムーンフェイズディスクは軽い質感で、エングレービングされた星座とハンドペイントの星で装飾されている。
2022年 ヴァシュロン・コンスタンタン新作 フィフティーシックス・コンプリートカレンダー 4000E/000R-B065
フィフティーシックス・コンプリートカレンダー
Ref:4000E/000R-B065
ケース径:40.0mm
ケース厚:11.6mm
ケース素材:18K(5N)ピンクゴールド
防水性:3気圧(約30m)
ストラップ:ブラウンのカーフスキンレザー、カーフスキンのライナー、ベージュのステッチ、18K(5N)ピンクゴールド製クラスプ、ポリッシュ仕上げの半マルタ十字
ムーブメント:自動巻き、Cal. 2460 QCL/1(自社開発・製造)、約40時間パワーリザーブ、毎時28,800振動、27石
仕様:時・分・センターセコンドによる秒表示、コンプリートカレンダー(日付、曜日、月)、高精度ムーンフェイズ、セピアブラウントーン文字盤(サンバースト仕上げ)、ジュネーブ・シール取得
エクストラフラット・パーペチュアルカレンダーは、新しいオーヴァーシーズコレクションのほかの時計と同様(2年ぶりだが、ヴァシュロンの息の長さを考えると、“新しい”という表現はまだ妥当だと思われる)、シンプルで実用的、そして安全なクイックチェンジ・ストラップシステムが採用されている。私はこのエクストラフラット・パーペチュアルカレンダーを、深いブルーの質感を持つラバーストラップとゴールドのフォールディングバックルで装着してみたが、非常に快適な装着感であることが判明した。オーヴァーシーズ・エクストラフラット・パーペチュアルカレンダーは、歴史に彩られた複雑機構を惜しげもなく搭載しながらも、驚くほど使いやすい日常使いの時計に仕上がっているのだ。
この時計は、全体的に非常に満足のいく時計だと思う。ラバーストラップ、クイックチェンジ・ストラップ、夜光の針とインデックス(これは日常使いの時計にふさわしいものだ)など、ある面では非常にコンテンポラリーなデザインとなっている。しかし、この時計はパーペチュアルカレンダー機構という由緒ある技術と、それに付随するムーブメントの仕上げに深い関わりを持っているのである。パーペチュアルカレンダー機構がダイヤルの下に隠されていることも魅力のひとつだが、完全に伝統的な機構を踏襲していることが、この時計の魅力になっている。
時計愛好家にとって、ハイエンドとローエンドのものでは雲泥の差がある趣味に興じるあらゆる分野の愛好家にとっても、評価するために必ずしも所有することは必要ではない。このような時計づくりがクォーツ危機を乗り越え、今日まで続いているという事実こそが、我々の心を動かすのである。
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